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図9 自由形および背泳ぎの世界記録の泳速の変遷(男子)

7. ルールの変遷

これまで、長期にわたり顕著なルールの変更は、施行されてこなかった。だが、ここ数年の間に、潜水距離およびターンに関連したルールが改正された。
1989年:スタートおよびターン後の潜水キックは、10mまでに制限された。
1991年1月:パース(オーストラリア)で開催された国際水泳連盟の会議で、背泳ぎの潜水距離の制限が15mまでに緩和された。
また、ターン時にからだの一部が壁に触れればよいことになった。

8.おわりに

背泳ぎの歴史をこれまで概観してきたが、当初、救助や休息目的で行われてきた背泳ぎが、平泳ぎやクロール泳などの影響を受けながら、1900年代に入ってから第3の競泳種目として認知されていった。
そのフォームの変遷は、他の泳法に比べれば地味な移り変わりとなるが、独自の発展を遂げ、記録を短縮してきた。
記録の短縮には、様々な要因が関与するが、昨今のトレーニング科学の発達によるタレントの発掘、練習メニューの改善、効率の良いフォームの

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図10 自由形および背泳ぎの世界記録の泳速の変遷(女子)

修得、練習環境の整備・充実、エキップメントの改良など枚挙のいとまがない。それぞれの分野で、それぞれの立場の人々が、日夜努力を続けた結果がこのような記録の向上に結びついてきたと考えられる。
6および7で述べてきたように、近年の世界的な記録停滞現象を考慮すれば、日本選手が今後も世界の舞台で活躍できることは間違いない。
「スポーツの素晴らしさは、不可能を可能にすることである」とよく言われるが、前述した記録短縮のための様々な要因に加え、選手個々の日々の鍛錬・精進によりそれらの不可能は、当然の如く打破されていくことであろう。
引用文献
1)D.Aアムブルスター、R.Hアレン、H.Sビリングズレイ共著、江橋慎四郎、宮下充正共訳:水泳教程、べースボールマガジン社pp18−19(1975)
2)リン・バーグ、ドン・スミス:楽しい水泳、講談社pp54−63(1976)
3)波多野勲:「マッテスの泳ぎ」スイミングライフ7月号pp72−76(1974)
4)東島新次:「全米室内興奮の秘密を探る」月刊水泳6月1日号vol.40日本水泳連盟pp8−

 

 

 

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